園長の部屋 第29回
闇夜にひらく曼荼羅華~チョウセンアサガオ

チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)
- 分類:ナス科
- 別名:マンダラゲ(曼荼羅華),キチガイナスビ
- 英名:downy thorn apple,horn-of-plenty
秋の夜長に,虫の音を聞きながら,ほんのり香る夜に咲く花を観賞するのも風流ですね。
植物公園では,園長の「夜に咲く花,名月とともに」をテーマとした「趣味の園芸」出演にあわせ,
撮影に使った植物の一部を展示中です。
今回は,朝まで花が咲いており,薬学史の中でも重要な役割を果たした「チョウセンアサガオ」をご紹介します。
インド原産で,高さ1.5mになる1年草です。
6月から10月にかけて,ラッパ型の花が咲きます。
花は,夕方6時ごろ咲き,翌日の昼前にはしぼんでしまう1日花です。
花後に,短い刺が付いた果実がなりたくさんの種子ができます。
和名の「チョウセン」は地域を表すわけではなく,海外から入ってきたことをさしています。
また,「アサガオ」も花の形が似ていることにより命名されましたが,まったく別の仲間です。
江戸時代に薬として使われていた!
江戸時代に薬草として輸入されました。
毒性が強く「キチガイナスビ」という別名もあり,
現在でも誤って食べてしまい食中毒を引き起こしています。この仲間は,いずれも毒性が強いため,触ったら手をよく洗いましょう。
薬草としての「チョウセンアサガオ」 は,江戸時代の医師・華岡青洲が乳がん手術
の全身麻酔薬の原料として使用したことが有名です。
用いた麻酔薬は,「通仙散」といわれ,ほかに川弓(センキュウ),当帰(トウキ)などいくつかの植物が
含まれていたようですが,詳しくは伝わっていません。
水戸藩の名医として知られる弘道館医学館教授の本間玄調は,華岡青洲に学びました。
帰郷後,水戸藩で乳がんの手術に成功し,後にその麻酔法を改良しさらに技術を発展させました。

★チョウセンアサガオの仲間たち
ヨウシュチョウセンアサガオなど,いくつかの種類があるとされ,分類に混乱があります。
園芸種としておなじみのエンゼルス・トランペットは,「キダチチョウセンアサガオ」とも言われ,木になります。
以前は,チョウセンアサガオと同じ「Datura属」とされていましたが,現在は「Brugmansia属(キダチチョウセンアサガオ属)」とされています。

- 期間 平成24年9月30日(日)まで *夜間は開園しておりません。
- 場所 緑陰広場

チョウセンアサガオ,ヤコウボク,オシロイバナ,
ユウガオなど夜に咲く花を展示しています。
チューベローズも近日中に開花見込みです!
開園時間中に見ることができる夜に咲く花
- ・チョウセンアサガオ 10:00ごろまで
- ・ヤコウボク 開花後は終日
- ・ユウガオ 17:00ごろ開花している日もあります。
- 場所 緑陰広場
- 更新日 2012年9月14日